カメラ構へ記念に撮るよと介護員
満開の桜背に笑むわれを
E.K
湯田川の孟宗汁に舌鼓
口いつぱいに香り広がる
S.I
久々に車から降り十分に
春の空気を満喫したり
K.H
今年もまた観桜会は妹と
話弾みて弁当美味し
M.S
友四人馴染みの宿に語り合ふ
皆寡婦となりどこか寂しく
A.S
春と秋湯宿に集ひ二十年
高齢なるも食欲旺盛
A.S
雲映す田は水鏡初夏の
早苗を揺らすさざなみの立つ
S.I
緋の牡丹大きく崩れ夕間暮れ
明日咲く花にたくす如くに
S.I
友の語る旅のエピソードに聴き入れば
ニュージーランドの虹浮かび立つ
E.K
ゴールまでの距離は知らずにひた走る
マラソンランナーわれも夫も
E.K
薄暗き朝点せる灯の下に
かなの連綿和紙にのせゆく
Y.S
流行するインフルエンザに介護士の
検温に回る足音せはし
T.S
大地震に世界中より寄る支援
かなしみ覆ふ感動のあり
T.S
わが胸に体を寄せて夢見るか
時には野良の威嚇の声も
H.I
家に着き再び和む花見客の
車を飾る花びら数多
H.I
ひと日終へふと見上ぐれば細き月
見のがさないでと空に浮かべり
T.S
幼き日田植へ行きし母を待つ
夕暮れ時の蛙の遠音
T.S